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The Association of Small Business Entrepreneurs in Hokkaido
〜私たちは地域の発展と人間尊重の経営を目指す経営者集団です〜


 【随 筆】 『バイクに跨って気付く色、匂い、人』

   

 

           根室スチレン(株) 代表取締役 高岡 一朗 (根室支部会員)

 

  私は札幌の経営者仲間の執拗な誘いで40歳を過ぎてから中型自動二輪の運転免許を取得しました。学生時代から憧れはあったものの、年齢的なこともあり諦めていましたが、夜間の自動車学校に通い、念願叶って免許を取得することができました。初めは、納沙布岬や落石(おちいし)といった近所を走っていましたが、今では斜里や網走、釧路など往復300km以上の長距離にも行くようになり、ツーリングを満喫しています。


 普段は車で出かける事しかなかったのですが、直に風と気温を感じ走ると、行ったことのある場所でも違う感覚を持つことができます。内陸に入ると上着を脱ぎたくなるほどの気温の差を感じ、海沿いを走ると磯の匂いがしてきます。すべての事を忘れて運転に集中していると、充実感で頭の中がリセットされます。時間の縛りもなく、自由に途中停車して休む、最高のひとときです。


 道東地区の夏は、全国からのツーリング客が多いことにバイクに乗り始めて気がつきました。知人の紹介で知り合った東京在住の60歳を過ぎた方が、一人で根室へ来て一緒に走ることもあります。どこから見ても60過ぎの「おじさんライダー」が東京から一人で来て全道を一周していたのですが、ヘルメットをかぶると走りは非常に若い。話をしてもまだまだバイタリティーがあり、真似したくなります。いまでは毎年恒例のツーリングになり、直接電話がくるようになりました。話をしても「やはり道東のツーリングは良い」と非常に気にいって根室に来ることを楽しみにしてくれています。


 車で移動すると2時間くらいで一気に移動する距離でも、バイクだと景色を見ながら移動する。いままで気付かなかったことに気付いたり、見たりするうちに良さがわかってきます。いままで趣味らしいものも持たずに根室で暮らしていましたが、ライダーにとって道東地区は最高の場所だということに気づきました。以前から「長く楽しめる趣味を持ちたい」と思っていましたが、これなら続けられそうな気がします。


 根室の夏は短く、更に繁忙期でもありバイクに乗れませんが、その前後は「晴れた日曜日が多ければいいな」と願いながら、バイクを磨いています。

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