娘は日本習字の勉強のために7年前滋賀県の五箇荘(ごかしょう)町にお世話に なりました。琵琶湖の東に位置し、風光明媚なところで江戸時代から続く屋敷や蔵 が並び、町全体が博物館のようなところです。 そんな町を私が訪ねたのは、娘が卒業を迎えた5年前。式の前日についた妻と私 は娘に観光ボランティアの方を紹介してもらい、北海道にはない白壁、土蔵、舟板 塀が続く町並を2時間ほど案内していただきました。案内の方から「近代日本経済 の基礎を築いた近江商人の発祥の地です」、そう説明を受け、屋敷の当主の名と、 経営している会社名を教えてもらったのですが、それは新聞、テレビなどによく出 る有名企業の名前ばかり。そこで、これでは心残りと思い町にある博物館に行き歴 史の勉強をすることに・・・。 てんびんの里文化学習センターの3階にある博物館には映像で学ぶところ復元模 型や当時の生活様式、質素な食生活の様子などたくさんの展示物がありました。そ の中で記憶に残っているのが、商いをする上で大切な言葉『三方よし』意味は、売 り手によし、買い手によし、世間によし、ということです。普通我々が商売をする 上で大切にするのは、お客様であることはあたりまえですが(買い手によし)、買 い手よしだけでは、商いにはならないのです。ましてや売り手よしだと、今話題に なっている構造計算の偽装問題や、商品偽装、脱税、・・・などということになっ てしまいます。では、売る側買う側双方が良い場合はどうでしょう。売るほうがい い商品、サービスを提供し、買うほうが、見合う対価を払う、これで商売が成立し 双方が儲かる、となるのですが、実はこれだけでもよくないのです。 何が良くないのか、それは自分たちの会社だけが儲かれば何をしてもいい(不正 や情報隠し)、また地域や国、社会がどうなってもいい(公害問題、環境ホルモン など)となるのです。そこで、世間によし。会社は利益追求のみを目指すのではな く、会社が地域社会に必要とされ、かつ役立つ存在でなければならないと言ってい るのです。 今、南しれとこ支部で経営指針づくりの勉強会を続けています。勉強の内容はま さに『三方よし』の勉強です。この出会いを作ってくれた娘と家族に感謝します。
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