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The Association of Small Business Entrepreneurs in Hokkaido
〜私たちは地域の発展と人間尊重の経営を目指す経営者集団です〜


 【随 筆】 5月の連休は、いつもシャケの稚魚放流

 


清藤商事 代表 清水 信彦 (釧路支部会員) 

   

 私は釧路シャケの会会員として昭和60年の設立時から、毎年5月5日の子供の日に鮭の稚魚の放流に携わってきました。
 私とシャケの会事務局長は、私の親の赴任に伴って東京から釧路へ小学校5年生で転校して来た時の級友であり、高校の同期だった事と社会人になってからも親交があった人だった為です。

 今年の放流は23回を数えるまでになりました。すなわち23年間、5月の連休はシャケ稚魚の放流にかかわりあい、どこかに遠出をするという環境にありませんでした。これからもきっとそうだろうと思います。
 稚魚の放流が始まったのは横道知事の時代からです。今では1団体に5千粒の発眼卵が供給されるようにシステム化されましたが、それ以前は北斗の湧き水の有る池で、昆布森の定置の漁師さんから親魚を譲り受けたものを養畜して、自分たちで受精させたものを育てたり、根室で孵化を個人で手掛けている所へ行って発眼卵を貰って来たり、切羽詰まっては、放流の当日に羅臼漁協から朝早く稚魚を搬送してきたりと、困難な中での放流の継続でした。
 そんな困難があったので貴重な蓄積もしました。たとえば釧路の水道水は、稚魚を飼育するのに雪解け水が多い時期には少し注意が必要ですが、そのまま使用しても問題ない事。また、発眼卵から孵出した時から浮いて泳ぎだすまでの間は、暗い所で砂利の間に頭や身体を隠して天敵から身を守りながら成長する事。
 さらに、私が参加している釧路湿原自然再生協議会での議論や取組み内容を聞いていて考えが体系化されたのですが、釧路湿原の再生の基本は鮭の自然産卵を湿原の中で増やす事が一番大事だということです。何故かと言うと、稚魚が増えれば生態系が大きくなる、すなわち、湿原の食物連鎖のピラミッドの底辺が大きく拡がるということです。現状では、オジロワシやシマフクロウやタンチョウの餌としては不足しており、流域からの土砂が運び入れる栄養分を捕食する生物としても不十分だという事です。従って、ハンノキ林が増大する事の抑止力ともなっていないという事です。
 鮭は釧路地域の生態系で重要な位置を担っています。このことを再認識してこれからも放流を続けたいと思います。

  

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