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The Association of Small Business Entrepreneurs in Hokkaido
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三重ある記
 
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その7

『29日に廃止になる巡航船「すがり丸」』 尾鷲市(おわせし)

hananoiwaya

 尾鷲港と尾鷲市須賀利町を結ぶ巡航船が29日、100年の歴史に幕を下ろします。
 須賀利町は離島ではありませんが、昭和57年に県道が通じるまではこの船だけが、町民の足でした。陸路だと尾鷲港まで40分以上は掛かります。
 乗船時間はおよそ20分。自転車や新聞、食料品などが海を渡っていきます。この日の船室は満席。尾鷲市内の眼科からの帰りのお年寄りが数人と、あとは船が廃止になることを知って乗船にやって来た人たちです。
 学校へ、病院へ―。何人もの人々といくつもの物語を運んだ船は町民の命の海路。病院へ急ぐ船の中で、出産したというエピソードも残っています。
 一時は1500人だった人口も今では260人ほど。小学校は廃校になり、子どもはひとりもいません。またひとつ、須賀利町の日常が消えようとしています。


2012年9月28日


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三重ある記について
 このコーナーでは、三重県の魅力を紹介します。釧路と三重は、北海道の名付け親で三重・松阪生まれの松浦武四郎(1818-1888)を縁に、地域間連携を始めています。
筆者プロフィール

下村 友惠(しもむら・ともえ)

三重県津市生まれ。皇學館大学文学部国文学科卒業。新聞記者を経て、フリーライター、地域コーディネーター、映像プロデューサー。月刊「旅の手帖」ライター。共著として『環境異変ー地球の悲鳴が聞こえる』(2009年、共同通信社)など
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