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The Association of Small Business Entrepreneurs in Hokkaido
〜私たちは地域の発展と人間尊重の経営を目指す経営者集団です〜

  •  「本は殺されるのか」
     

                
       (有)スズヤ書店 店長 岸本 真希人    (釧路支部)

    インターネットの一般化が進み、新聞や雑誌といった情報媒体がそれに取って代わる時代が来るのかといった論議を最近よく耳にします。インターネットによってもたらされるニュースには速報性があり常に新しい情報にあふれていてTVや新聞よりもすぐれた側面がいくつもあります。
      ブログや2chなど一概にはいえませんが一般雑誌には書かれることのない社会の裏側を垣間見ることもできるといえるでしょう。ただその情報量はあまりにも膨大でその中から真実を見抜くのは時として困難をきわめます。やはり現時点ではインターネットの情報だけでなく新聞、雑誌、TVラジオといったメディアと上手に付き合う必要性があるといえるでしょう。本でしか味わえない不思議な魅力というのもまだまだ捨てたものではありません。ハードカバーの重厚な書籍にしろペラペラの文庫本にしろその一冊、一冊違った「表紙」には特別な想いが込められています。
      ホームページのフロントページにはゴチャゴチャしたものが多く本の表紙とはまったく別物です。また本には「ページ」をめくるワクワク感があります。ページの切り替えも計算されているものが多くめくった瞬間の展開のさせかたは作者の腕のみせどころでしょう。「匂い」もかかせない要素です。最近の本はあまりしなくなりましたが紙とインクの匂いにはインテリジェントな香りがします。メディアとしての書籍や雑誌がこの先しばらく安泰だとしても本屋ははたして生き残っていけるのでしょうか。Amazon.comの登場により本の注文が随分と簡単になりました。検索から購入配送手続きから到着まで実によく出来ています。本屋であるわたしも何度か利用したことがありますがスピーディで行き届いたサービスには本当に恐れ入り、正直学ばなくてはいけない所がたくさんあります。
      しかしながら私のような小規模書店でも彼らとともに生きていけると信じています。それはお客さまとの対話のなかにあります。お客さまの質問にスラスラと答え、要望の商品を出来る限り速やかに提供し、真摯に笑顔で対応する。それができていれば少ない在庫を少ない人員でほどほどの売上げをあげて書店員としての誇りを持ち続けることが出来るものと信じています。
     これからも小さな書店でも出来るささやかな提案のある棚作りと、一冊の本が及ぼす影響について多くの想像力をもてるよう努力し続けたいと思います。

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